ブルークローバー・キャンペーン前立腺がん早期発見のためにPSA検診への理解を【2】
早期発見が根治につながるまずはPSA検診を(2)
伊藤
早期発見できれば、治療の選択肢が増えます。手術療法、放射線療法、ホルモン療法、PSA監視療法など、病状と個々人の価値観に応じて、いろいろな治療から選択ができます。それに対して、PSA検診を適切な間隔で受診せずにがんが見つかった場合は、進行(転移)がんの可能性が高くなります。この場合、治療選択肢は限られ、また、病状の進行や治療の副作用などで生活の質は低下します。その結果、余命は短くなり、5年間で約50%の人ががんが原因で亡くなってしまいます。
内藤
チロル地方(オーストリア)の研究では、1988年からPSA検査と直腸診による検診、1993年からは45歳~75歳の住民に対してPSA検診の無料提供を行っていますが、2008年までの解析では、検診率は約9割に達しました。その結果、転移がんが激減し、また死亡率も64%低下しているというデータがあります。QOL(生活の質)の観点からも、前立腺がんが早期に見つかるか、あるいは転移がんとして見つかるかによって大きな違いがあると思います。
伊藤
そのため、住民検診では50歳からの受診、人間ドックなどの受診機会がある方は40歳代からのPSA検診を勧めています。適切な年齢からPSA値を測定すれば、将来、前立腺がんになる、自分のリスクをより早く知ることにもつながります。40歳代では前立腺がんの発見率は低いですが、この時期のPSAの基礎値は、前立腺がんの発がんにかかわる、それまでに蓄積された食生活習慣や遺伝的なリスクの「成績表」のようなものです。ぜひ、適切な年齢になったらPSA検診を受診し、自分の前立腺の健康状態を早い時点で知ることが大切です。