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伝えたいこと小線源療法が推奨される理由【1】

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前立腺全摘手術のジレンマ

本来、癌の手術では、周りに十分な正常組織をつけて切除すべきです。 ところが、前立腺は周囲を膀胱、直腸、括約筋などの重要臓器で囲まれています。このため正常組織である周囲組織を十分に含めて摘出することが難しい臓器といえます。なぜなら、周囲の組織を余分に切り取ることにより、括約筋の損傷による重篤な尿漏れがおきたり、直腸に穴が開いたりする可能性があるからです。

前立腺がんで摘出する部分を示したイラスト

また、針生検で低リスクと診断された患者さんでも、実際には癌病変は、前立腺被膜を少し飛び出した場所(多くは1~3mm程度)まで及んでいることが少なくありません。中間リスクや高リスクになるとこういった可能性がさらに高くなります。

このように前立腺がんに対する全摘手術は、その特殊性から必ずしも癌がきれい取り切れるとは言いきれないことがわかります。癌が手術部位に残ってしまうと、手術後何年かたって再発を起こす可能性がありますので、術後の患者さんにとって大きな問題となります。
PSAが4ng/ml以上で見つかる標準的な早期前立腺がんであっても、癌を完全に除去出来ている確率は、前立腺がんのリスクによって20~85%とかなりのバラつきがみられることが報告されています 。
※参考文献:J Urol. 2008 Sep;180(3):904-9

つまり、前立腺全摘術においては癌が手術部位に残ってしまうことが一定の確率でおこり、それを治療前に的確に予測することは難しいというジレンマが存在します。特に治療前のPSAが高い場合や、グリソンスコアが高い「高リスク」とよばれる前立腺がんでは、このようなケースが高頻度で起こりうるので要注意です。

<執筆>あじろぎ会 宇治病院 泌尿器科 岡本圭生先生

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