冊子/リーフレット前立腺がん小線源療法のガイドブック【1】
<監修>京都府立医科大学大学院医学研究科
泌尿器外科学教室
1.前立腺がん診断概要
前立腺の構造
前立腺のサイズは胡桃(くるみ)ほどで、会陰部の奥に位置し、直腸の前方、膀胱の下方に位置している。 精液の一部を作るのが前立腺の役割である。
前立腺がん診断の動向
日本では、男性悪性腫瘍死亡率の4%を前立腺がんで占め、死亡理由順位では現在8位となっている。 高齢化や食生活の欧米化の影響によって、日本での前立腺がんの死亡率は上昇し、 1950年と比較すると1997年の年齢調整死亡率は約16倍に増加しているのが現状である。 また『がん統計白書』による報告では、2015年の部位別がん死亡数の増加比で、 他の男性の悪性腫瘍と比べ前立腺がんが最も増加率が高いと予測されている。
前立腺がんの病期
前立腺がんの腫瘍の状態から、がんの広がりを判断する。
T1c期では、直腸触診や画像による診断が不可能な、臨床的に明らかでない腫瘍に分類される。 PSAの上昇により針生検にて確認される。
T2期では、がんはまだ前立腺内にとどまっているが、小型から大型の硬い結節を形成していることが多い。
T3期では、腫瘍が前立腺から外に浸潤し、精嚢などの周辺組織に広がっている。
T4期では、腫瘍は前立腺から外に浸潤し、膀胱や直腸などに広がっている。時にはリンパ節や骨などに転移している。