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ブルークローバー・キャンペーン「前立腺がん啓発週間」 活動リポート(3)
「がん・統計白書2012」によると、2010年の前立腺がんによる死亡者数は1万1,600人。2025年 には1万5千人を超えると予想されています。多くの自治体が、前立腺がんの早期発見に有効なPSA 検査を取り入れているものの、日本人男性の受診率は依然低い数字にとどまるのが現状です。
ブルークローバー・キャンペーンは9月17日~24日を、日本における「前立腺がん啓発週間」と 設定。複数の医療機関と協力し、無料PSA検査の提供のほか、前立腺がんの基本的知識を広く発信 しました。昨年に続いてのキャンペーンは、その協力医療機関を大幅に増やし、広く全国で展開 されました。
●熱心な参加者の情報収集の場に
70歳以上の男性であれば、無料でPSA検診を受けられる環境にある横浜市。済生会横浜市東部病院で開催された啓発イベントは、まだ検診を受けたことのない若い層に、前立腺がんやPSA検診についての知識を得てもらうことを主な目的に行われました。イベント当日は3連休の初日。絶好の行楽日和のもと、市民公開講座には約95人、無料PSA検査には73人が参加しました。
市民公開講座は中島洋介先生の司会で進められ「前立腺癌の診断とPSA検査」(星野孝夫先生)、「前立腺癌の治療について」(小杉道男先生)と、2人の先生による講演が行われました。講演が終わった後も、スタッフに質問する参加者も見受けられ、また同時に設置された「がん相談ブース」も機能するなど、講座会場は、熱心な参加者の情報収集の場となったようです。
73人を集めた無料PSA検診は、通常の新聞広告やキャンペーンホームページでの告知のほか、鶴見区、神奈川区、港北区のタウンニュースでも告知。その直後に予約枠が埋まるなど、地域住民からの高い反応もあったとか。対象年齢を40歳以上に設定し、事前申込制にすることで、若い年齢層も参加しやすい工夫もしたといいます。「PSA検査をまた受けたいと思います」「とても参考になりました」「相談コーナーは便利だった」など、好意的な感想も多く寄せられ、充実のうちに終了しました。
●3施設で啓発活動
期間中、古作クリニックでは本院/玉村分院/東分院の3施設で、外来スペースに資料展示ブースを設置。ブルークローバー・キャンペーンのパンフレットおよびピンバッジを配布し啓発活動を行いました。また来訪者からの質問や問い合わせに関しては、同クリニックの泌尿器科専門医が無料で回答する光景もみられました。
●前立腺がんの知識や情報が、広く市民に浸透
一般市民に前立腺がんの現状を知ってもらうことを目的に行われた市民公開講座。午前・午後合わせて、109人の参加者を集めました。
講演は、森山正敏先生を座長に、前立腺がんをわかりやすくひもとくための4テーマを設定。「前立腺がんの病態・疫学」(太田純一先生)に始まり「前立腺がんの診断」(澤田卓人先生)、「前立腺がんの治療」(藤川敦先生)、「PSAと前立腺がん検診」(森山先生)の順に話題が繰り広げられました。
講演後は、参加者から事前に提出された質問に、各先生が回答する時間を設定。休憩時間や終了後には、がん検診センター保健師による検診に関する質問相談や、無料前立腺がん検診(PSA検査)の受け付け予約も。「先生方の講演で、早期発見の大切さを認識した」と話す予約希望者も見受けられました。
講座後の参加者アンケートでも「前立腺がんは他のがんに比べて知名度が低いイメージでしたが、認識を新たにした」(60代男性)、「講座で具体的に説明を受けて、ネット情報よりもよく理解ができた」(60代男性)、「夫が前立腺がん治療中。このがんの全体像がわかってとても良かった」(60代女性)など、講演を通して前立腺がんについての理解を深められたとの感想が多数。また病気・診断・治療・検診のテーマごとに先生が分かれて講演したことに「素人の私にも、非常にわかりやすい解説だった」(40代男性)などの感想もありました。
●男女ともに関心の高いテーマ設定が奏功
近年、男性に急増する前立腺がん。そして女性のがんの中で罹患率が第1位の乳がん。ともに毎年1万人以上の人が命を落とす2つのがんにクローズアップした市民公開講座は、今回、全国で行われた一連のイベントの中でも類を見ない斬新な切り口です。主催者は「通常、市民公開講座を実施すると(すでに罹患している)患者さんが多く来られる傾向にあり、一般の方に検診の重要性を伝えるのが難しい。そこで今回は乳がんと前立腺がんを一緒に知る機会を設定することで、夫婦や、罹患していない層の参加の割合を増やしたいと思いました」と、その構成のねらいを語ります。
この2つのがんは、ともに「検診での早期発見=早く見つければ恐くない!」ことが共通点。講演では、そうした検診の重要性を強調したほか、がんに罹患したときの適切な治療法、および事前に受け付けた質問への回答という順で展開。男女ともに関心の高いテーマとあり、約100人の参加者は熱心に耳を傾けていました。講演された先生方も「乳がんと前立腺がんをコラボレーションすることで、ご夫婦での参加など、いつもより幅広い層が見られた」と、この試みを評価されていました。講演内では、男性は無縁というイメージのある乳がんも、実は男性にも発症するケースがあるという話題も。このイベントだからこそ知り得た新しい知見もあり、参加者は有意義な時間を過ごしたようです。