前立腺がん治療・小線源療法|ブラキ・サポート https://brachy.jp/ Produced by メディコン
怪談話でおなじみのタレント・稲川淳二さん(65歳)。前立腺がんの治療を受けたことを、今年6月に自身のツイッターで公表したのを覚えている方も多いでしょう。毎夏恒例の怪談ツアーの真っただ中という多忙の間をぬって、前立腺がんの早期発見・適切治療の大切さを伝えるブルークローバー・キャンペーンのインタビューに応じてくださいました。
「私に前立腺がんが見つかったのは、まさに偶然の賜物なんですよ」と切り出した稲川さん。「入院経験もないし、知人のお見舞いくらいにしか行かない」ほどの病院嫌いを自認する稲川さんに、なぜ前立腺がんが発見されたのでしょうか。
「昨年10月の怪談ツアーでの出来事。呼吸が荒くなるようなネタを立て続けに3本披露した直後に、頭の中が真っ白になったんです。いわゆる"意識が飛んだ"状態。後から思えばがんとはまったく関係のない『酸欠』だったのでしょうが、舞台上でそんなことは初めて。周囲の心配や強い勧めもあって、しぶしぶ病院へ精密検査に行ったんです」 実施した血液検査項目の中に、前立腺がんの早期発見につながるPSA検査もたまたま含まれており、そこで前立腺がんの兆候が。その後生検を行い、前立腺がんと告知を受けたのが昨年12月のことでした。発見されたがんは幸いにも早期のもの。大きさも1ミリ程度で「鉛筆で点を描く時にできる、あの大きさほどのもの」だったとか。
早期には自覚症状がほとんどない前立腺がんですが、稲川さんにも痛みなどの自覚症状は皆無でした。「前立腺がんやPSA検査について、知識がまったくありませんでしたからね。もしあの時ステージで酸欠を起こしていなかったら、そのまま見過ごしていつか取り返しのつかないことになっていたでしょう。(怪談に登場する)霊が何かシグナルを送ってくれた? そうかもしれませんね」
早期発見の場合は、様々な治療の選択肢があり、根治も十分に可能な前立腺がん。稲川さんも、医師から複数の治療法を提示されました。丁寧な説明を受けた上で選択したのは、今話題の手術支援ロボット「ダヴィンチ」による前立腺全摘出(※)。「昔から"体当たり"はいとわない芸風(笑)。手術するのなら、最新の技術を自分で試してみたいという思いがありました」。手術前には機械を実際に見ながら説明を受け「これなら安心」と不安を取り除いたそうです。
当日、手術は2時間程度で終了。「手術台の上で麻酔から覚めた時は『えっ? もう終わったの?』という感覚でしたね」。さらに稲川さんが驚いたのは、その出血量の少なさ。「術後は出血でシーツが汚れるイメージがあったんですが、それがほとんどなかった。傷痕も、へそ上に2センチほどの切り傷と内視鏡を挿入した痕の点が六つ。そこには注射の痕のようなばんそうこうが貼ってあるだけで、術後すぐとは思えないほどの軽い痕でした。『自分で歩いて病室まで戻るよ』と手術台から降りようとして、止められたくらいです(笑)」。術後の回復も順調で、入院中は夜な夜なナースステーションまで歩いていき、看護師に怪談話を披露したというエピソードも。「『病気』と書きますよね。『病』を治す治療法はたくさんありますが、しかしそこには『気』も付いていかなければ。術後しばらく寝たままだったり、傷痕が痛んだり・・・・・・では精神的にもこたえるでしょう。幸いなことに私にはそれがなかった。院内の雰囲気も明るく、入院期間は良い休養にもなりました」
「私が経験したのは、がんと名のつく手術の中で最高に軽い部類に入る。それもPSA検査で早期発見できたから」と強調する稲川さん。今回の経験を公表した理由についてこう話します。「私と同じような病院嫌いの男性に、少しは"自分ごと"のように感じていただければとの思いから。できれば検査を避けたいと思う気持ちはよくわかります。一方で、前立腺がんについて知識を持っている方も『自分は平気』とラインをひいてしまう。でもそれが後悔のもとですよ」。治療後、周囲の人から前立腺がんについて聞かれる機会が増え、実態を教えると「じゃあ私も」と検査に行ってくれることが何よりうれしい、とも言います。
「自分は健康で、たぶん前立腺がんにはかからないと思っている。私もそうでした。でもそれは大変な間違いかもしれません。がんが判明してあわてるよりも、前もって検査すべきです。自分の命なんですから。早期発見できれば十分に助かることは、私が身をもって証明しました。血液検査だけでがんの可能性がわかるんですから。PSA検査、私はお勧めします」と、前立腺がんを乗り越えた経験者ならではの力強いメッセージで締めくくってくれました。